町田洋さんの新作「砂の都」の一話目を読んだ。
町田洋さんの新作の連載が始まった。もう永遠に出ることはないのかと思っていた時期もあった。一番新作が楽しみな作家さんの1人だった。
ただ今一話がモーニングの公式のウェブで読めるらしいので、是非…。
コミックスになってから感想を書こうと思ったけど、我慢できなかったので書く。
まず一言「最高かよ」
本当に期待を裏切らない内容。「惑星9の休日」に収録されている映画の話で、妙に細かくテープカットの描写を描いていたように、今回もカメラ修理のおじいさんのセリフも妙に引っかかる。「回螺器」(かいらき)なんて道具初めて知ったよ。道具のチョイスがいちいちセンスを感じる。(まあ、油絵を描かない人が「テレピン」とか「アブソルバン」とか聞いて新鮮に感じるのと似た現象だろうか)
そして「惑星9の休日」の横断歩道のシーンに匹敵するシーンを、一話目でいきなりぶっこんで来たのだ。町田洋恐るべし…。
結婚式の騒ぎに交ざらない主人公。「あの時 後悔したな」「でも今も飛び込みはしない」という心のセリフ。めちゃくちゃ共感してしまう。もうここで感情のメーターが振り切れそうになるのだがそこでは終わらせない。
ヒロインが唐突に後ろから突き飛ばしてくる。無理やりオアシスの中で楽しく騒ぐ町人の輪に引き込まれる。そう、現実ではこんなことはあり得ない。少なくとも自分の人生にはなかった。
無理やり夏祭りへと誘い出すヒロインや、文化祭のクラスの輪に引き込んでくるヒーローなんてフィクションだ。
でもこんな感情移入した後じゃ疑似体験したようなものだ。そしてふと現実に戻される。
爽やかな倦怠感と、ちょっとだけ生きる力を貰いまし